2012年12月17日

西之谷ダムの試験湛水

ワタクシの亡父は地学の教師でした。

だからワタクシは幼い頃から、珍しい地層が現れているところとか、化石が取れるところとかに連れて行ってもらっていました。

西陵と武岡の間を流れる田上川(新川)の上流まで連れて行ってもらったこともあります。

大峰橋から下流はそれなりに川幅も流量もある田上川も、そこでは小川の趣を見せていました。

せせらぎの下を、小石がころころと流れているのを父親は指差して、
「川に削られた山の土や石が、こうして川下へ運ばれていくんだ」
と教えてくれたのを覚えています。

川の上流を見ると、緑が深い山の中から水が静かに流れてきていました。

(あの向こうには、どんな世界があるんだろう・・・)

幼いワタクシは、そんなことを思いながらワクワクしていました。


それから10年くらいか。

高校生になったワタクシは、自転車に乗って田上川の上流・・・幼いワタクシがいろいろと空想してイメージを膨らませていた、小川のさらに川上へと向かいました。

そこは、「西之谷」と呼ばれる谷だというのは、すでに地図で知っていました。

実際に行ってみると、シラス台地に挟まれた間に棚田が広がっている、のどかな谷でした。

市街地から自転車で行ける距離に、ひっそりと隠されたようにある谷が気に入って、ワタクシは何度も、自転車で通いました。

特に、緑が萌える春と、稲穂が実って垂れる秋の風景が好きでした。


そしてさらに20年以上・・・。

西之谷に建設されていたダムが完成して試験湛水が行なわれ、満水になったというニュースに、ワタクシはクルマを走らせました。

鹿児島県のホームページ→こちら

鹿児島県が整備を進めてきた西之谷ダムは、下流での洪水を防止するためだけに作られた、治水ダムです。

新川では川幅を広げたり、深く掘り下げたりと、洪水防止のための工事が進められていますが、それだけでは対応しきれないような大雨の場合に、下流へ流れる水を一時的に溜めておくためのダムなのです。

その建設工事がほぼ終わり、ダムに問題がないか、実際に水を溜めて検査をしているのです。

西之谷ダムの試験湛水

工事中の様子も何度か見に行ったのですが、実際に水が溜まっている様子を見ると、昔の光景が思い出されて、感慨もいっそう深いものがありました。

このダムは間違いなく、下流に住む人の生命と財産を守るためのものです。
けれどもせめて、昔の風景を胸の奥底にしまっておきたいと思います。


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Posted by 植野 丈 (吉松真幸) at 19:17│Comments(0)つれづれ
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